企業の漫画広告とは?効果・メリット・制作の流れ
2022/11/21 | By icomix |
チラシやホームページ、SNSなどで見かける漫画があります。そのような広告媒体に掲載された漫画のことを漫画広告といいます。企業の漫画広告を作るときの効果やメリット、デメリット、費用や相場、そして制作の流れや漫画広告のストーリーの作り方について、漫画広告の全体像を解説いたします。
漫画広告とは?
そもそも、漫画広告はご存知でしょうか? ウェブで通常の連載漫画を読む方達も増えてきていますが、それとは違うものです。
漫画広告とは、企業がチラシやホームページ、動画などで広告を出す時に、商品やサービスなどの広告を4コマ漫画やストーリー漫画を使ってわかりやすく説明するものを言います。皆様は、YouTube広告や新聞折込チラシなど、いろいろな場所でいろいろなスタイルの漫画広告をご覧になっていると思います。
漫画広告には、ホームページに漫画を掲載する「WEB漫画」、チラシに漫画を掲載する「漫画チラシ」、YouTubeやTiktokなどでWEB漫画に声や動きを入れて、動画として発信する「漫画動画」などがあります。
他にも、機器の操作方法を漫画で説明したマニュアルや、新人スタッフ用の作業マニュアルなども漫画にした「漫画マニュアル」もあります。このように、漫画は広告以外にも餅られるようになってきました。
漫画広告の効果
漫画広告が始まったのは、2005年ぐらいからです。商品やサービスをわかりやすく解説し、ターゲット顧客に刺さる広告として人気が出てきました。実際私も最初の頃、このWEB漫画を見た頃は、そのマーケティング力の強さに驚いたものです。
漫画広告がB to BでもB to Cでも使われるようになったのは、2012年ごろからだと思います。最初はB to C向けの商品やサービスのPRで、漫画広告を使うことが多かったように思います。
漫画を広告で使う効果としては、視認性が上がることです。視認性とは、広告を見たときに、商品やサービスを認識する高さのことです。以前に当社で漫画広告のデータを取ったところ、漫画広告を用いない一般広告と比較して、1.7倍を超える反応率で、漫画広告と一般広告の視認性に差がありました。
また、ホームページでも同様の効果がありました。WEBマーケティングの世界ではよく言われる滞在時間、直帰率、離脱率など、ページ分析指標でも大きな改善が見られました。
あるWebページの場合ですが、滞在時間が3分程度から6分程度と約2倍に、直帰率という、訪問者がすぐにウェブサイトから離脱するパーセンテージも大きく下がり、ホームページに漫画を用いることは、広告効果が明確に高いことがわかりました。
もちろん本データは当社の一般的なデータであり、すべてのウェブサイトで実現できるとはお約束できません。しかし、現実問題、漫画で商品やサービスの魅力を伝えることは非常に効果が高いことはお分かりいただけたかと思います。
漫画広告は面白い漫画が良いのか?
しかし、漫画を広告に使うことに抵抗がある企業も多いと聞きます。業種によっては硬めの広告が主流なところもあることでしょう。そういった業種では、「もっと真面目にやらないとお客様が真剣に商品やサービスを受け止めてくれないのではないか?」と思うようです。
ただ、実際にはこのような抵抗感は取り越し苦労になることが多いです。そもそも、商品やサービスをPRするときに、「誰が一体お客様なのか?」ということをきちんと理解していないと、いけません。
刺さる広告とは、その商品やサービスを販売する時の「ターゲットとする顧客」にきちんと伝わる、ということが一番重要です。
漫画広告のメリット
漫画広告のメリットは、もちろん広告が見てもらえるようになり、PR効果が高まることですが、そのメリットを3つに分割してご説明いたします。
漫画広告のメリット1、共感できること
その点、漫画の1番のメリットは「共感できる」ということにあり、ターゲットとする顧客に商品やサービスの良さが伝わりやすくなります。
漫画は、一般的には主人公がいて、その主人公がなんらかのトラブルを抱えていて、それを解決する物語などが、よくあるストーリーです。ストーリーに感情が入り込んでしまい、ついつい漫画に取り込まれてしまうこともあります。
そのようなストーリーを広告に没入できるので、見る人の気持ちを商品やサービスが伝わりやすくなります。このように、漫画広告は高いPR力を持っています。
顧客の気持ちに寄り添う「共感できる」内容が漫画によって生み出されることで、瞬間的に商品や、サービスにも愛着が持てるようになるのです。これは漫画広告の1番のメリットになるでしょう。
漫画広告のメリット2,わかりやすさ
さらに漫画広告のメリットとしては「わかりやすさ」というものが大きいでしょう。
最近は「マンガでわかるシリーズ」という種類の本が売れているといいます。難しい内容が漫画になって「分かりやすい」から評価されているのだと思います。もちろん、漫画広告も、ターゲット層の心に刺さるわかりやすさを提供できるかが勝負になります。
漫画ですと、説明の難しい商品やサービスであったとしても、わかりやすく伝えることができます。
文字ばかりの読むのが面倒な広告は敬遠されがちですので、ほとんどの人が読んだ気になります。漫画広告であれば、ターゲットとなる顧客層に合わせた読みやすい漫画で説明できるので、顧客はストレスなく広告を見ることができるようになります。
漫画広告のメリット3、インパクト
今ではFaceBook、ツイッター、インスタグラムなどSNS全盛期であり、私たちが目にする、触れる情報の量は膨大なものになりました。こういう時代にあって多くの人間は、ひと目見た瞬間に「自分に関係がない!」と思ったらさっさと次の行動に移ってしまう傾向が強くなったそうです。
ターゲット層に「これは何だろう」と目を止めさせ、足を止めさせることはとても大切な広告の目的です。このことをクリアして初めて、商品やサービスの内容を見てもらえ、興味を持ったり、注文をしたりといった次の行動に進むことができます。
漫画広告が逆効果になるパターン
逆に、漫画広告が逆効果になるパターンもあります。それはターゲットとする顧客層が幅広いにも関わらず、漫画広告自体が狭い「ターゲット顧客」を想定して作られているケースです。
商品やサービスには顧客層があります。対象とする顧客層の幅が広い場合には、特定の顧客に絞った漫画では、見てもらえません。見てもらえない広告は費用のムダとなります。
きちんとターゲット層に合った広告を作ることは大事ですが、狭い分野だけを漫画で攻めようとしても、費用対効果が高いとは言えないと思います。
また、極端なパターンですが、対象とする顧客層を侮辱する漫画広告であったり、恐怖をあおるような内容の漫画広告であったりした場合には、逆効果になる場合もあります。
もちろん、そのようなストーリーの漫画広告を制作する場合もあるかもしれませんが、表現の限度があります。許容できる限度もあるので、PR用の漫画広告制作では、そのような冒険はしない方が良いでそう。
漫画広告の利用シーン
漫画広告の利用シーンはどんどんと増えています。当社が漫画広告制作サービスを開始した頃は、漫画チラシが一番利用されていました。
そのあとに流行ったのが、WEB漫画でした。Web漫画の利用は、「ウェブサイトのみで商品やサービスの漫画を作って掲載する」というものですね。とある情報サイトが、記事に関連するストーリー性のある短編漫画を導入したらSNSでバズって、アクセス数が数百倍に増え、そこからの広告収入が劇的に増えたケースもあります。
さらに2007年度頃から始まったのが、ウェブサイトの「ランディングページ」という仕掛けで、一枚のウェブサイトで販売まで一気通貫で行えるものを漫画で行う「漫画ランディングページ」という手法でした。
さらにそこから、YouTubeなどの動画サイトでウェブ漫画や漫画ランディングページに音声を入れて集客する「漫画動画」という手法も生み出されました。
法律事務所が、連続ものの漫画動画で「法律を破ったらこんな酷いことになった」シリーズは、100万回再生などの動画もあり、人気を得ています。さらに漫画広告を短くして、Line漫画広告や、Tiktok漫画広告、なども作られ始めていますね。
このように、漫画広告の利用シーンは増え、漫画の高い効果が知られるようになると、さらに利用されるようになることでしょう。
漫画広告の費用と相場は?
漫画広告は効果的だということをご理解いただけたと思いますが、費用としてはどのくらいかかるのか、気になりますよね。「普通の広告よりもお高いのではないか」と考えるかと思います。
漫画制作の費用と相場
実際に、有名漫画家さんに書き下ろしで新作漫画を描いてもらうと、1ページあたりでフルカラーだと10万円前後は最低かかるのではないかと思います。(その費用で制作を受けてもらえるかは別として)
いろいろな漫画広告の制作会社の相場を見ると、基本、初期の企画料で5万円から10万円かかります。
そして、フルカラーの漫画をA4サイズ1ページあたり、2万円から5万円程度になるかと思います。1ページあたり大体6コマですので、複数ページを制作となると、その金額を掛けていただければ相場が出るかと思います。
漫画ランディングページ制作や漫画動画制作の費用と相場
ランディングページの企画を同時に行い、漫画ランディングページというものにした場合は、ランディングページの制作だけで通常は15万円から50万円の相場で収まるのではないかと思います。
すると、漫画ランディングページ単体では、漫画のページ数にもよりますが、おおよそ40万円から85万円程度になります。
漫画動画制作の相場は、動画制作と音声編集などで、7万円から15万円程度になるかと思います。すると、漫画動画単体では、これも漫画のページ数にもよりますが、30万円から45万円程度になります。
ただし、漫画広告は「クロスマーケティング」と言って、単体の広告媒体に用いることはせずに、漫画チラシと漫画ランディングページを同時に制作したり、漫画ランディングページと漫画動画を同時に制作したりします。すると、企画や漫画制作の費用が格安になり、漫画広告の費用を下げることができます。
相場としてはこのくらいが基本ではないかと思います。
漫画広告の制作費を下げるのではなく費用対効果が大事
価格面でできるだけ安く済ませるのであれば、ランサーズやクラウドワークス、ココナラなどのクラウドの漫画制作者に依頼するのも一案です。優秀な漫画広告制作者もいますから、そちらにお願いすることもコストダウンにはなると思います。
ただ、漫画広告の制作を漫画制作者に直接依頼することは、あまりおすすめしません。
漫画広告は意外にマーケティング技術と直結しますので、漫画だけが描けたとしても、商品やサービスの訴求に繋がりにくいケースがあるためです。
結構、マーケティング要素の有無や、一般的なビジネスの流れとは異なる現場で働く漫画制作者の作業スタイルなどで、漫画制作者と意思疎通を図ることが難しい場面が多いのです。当社は、実際に困っている企業様を見て漫画広告サービスを立ち上げた経緯があります。
漫画広告制作の流れ
1、詳細なヒアリング
漫画広告の制作は、まず詳細なヒアリングが必要になります。
どのような目的で漫画を利用し、どのような成果を求めているのかを考えてみてください。
特に大切なのは「どのような顧客にこの漫画広告を訴求したいのか?」ということを深く考えることです。これらをマーケティング分野では「セグメント分析、ターゲティング分析、ポジショニング分析」などと言います。これらが明確になると、どの顧客にどのようなメッセージを伝えれば良いのかがわかってくるようになります。
当社の漫画広告制作では、この部分を経営コンサルタントが担当し、詳細なヒアリングによって対象顧客や顧客が求めるものを明確化します。
2、企画・構成
マーケティング要素が固まってきたら、企画・構成をしてみましょう。
前述した目的や成果を追求するために、どのような顧客にどのような内容を伝えるべきかを徹底的に練り上げてみましょう。
どのような漫画広告にすれば良いかを複数の検討会議で話し合ってみてください。部門ごとに意外な視点が見えてきたりして、面白い制作会議となるかもしれません。
そのあと漫画企画を行うスタッフにプロットを依頼します。プロットとは、漫画の世界観やストーリーを手書きで描かれたものです。
そして漫画広告のラフ制作、漫画のコマ割りに入ります。いわゆるコマが描いてあり、そこに漫画家さんの簡便な下書きとセリフが入ります。
3、下書き作成
企画・構成が終わり、漫画のコマ割りが終わると、次は漫画広告の下書き作成に入ります。
ラフのコマ割りができたら、次は漫画家さんの選定に入ります。
イメージに合った漫画家をいろいろな漫画広告制作会社やクラウド・サービスからお選びいただき、制作がスタートいたします。
漫画家さんの下書きが終わりますと、セリフの修正やカットの修正が行われます。
4、仕上げと公開
仕上がりが問題ないようであれば、漫画広告をWEBにアップしたり、ランディングページにはめ込んで、作業は終了になります。
だいたい6ページのフルカラー漫画をWEB漫画として制作する場合は、3週間から4週間程度になることが多いですね。
漫画広告のストーリーの作り方(異世界転生の例)
漫画というのは基本的には起承転結の4部構成で作られます。これはだいたい、普通の漫画作品でも同じですが、漫画広告もこの流れを汲んでいます。
たとえば、とある喫茶店が漫画広告で、新作のチョコレート・ドリンクの宣伝をするとします。これを4ページものの異世界転生の漫画で表現しようとした場合、どのようになるでしょうね?
主人公のパーティー4名が、謎の洞窟に足を踏み入れ、強い敵の攻撃に遭い、必死でダンジョンを逃げ帰るシーンから始まり、お腹がすいて、遠征地の宿泊地に戻るまで距離がある設定にします。
そこで、何もないところにいきなり自動販売機が現れ、チョコレート・ドリンクが魔法石7個で買えると書いてあります。怪しみながらも、自動販売機のことを唯一知っている日本人から異世界転生した主人公が、したり顔で、使い方を教えてゆきます。
最初はもの慣れた主人公でしたが、買ってみると効能書きが異世界の言葉で書いてあり、読めません。パーティーの仲間たちが力を合わせてこのチョコレート・ドリンクのパワーを読み解こうとします。
新作のこのチョコレート・ドリンクはポリフェノールやビタミン類などの栄養素が多く、ヒーリング・ポーションとしても強力な機能があることが説明され、ダンジョン後の疲れたパーティー・メンバーにも効果的だとわかります。
しかし、パーティーの一人、エルフは効能書きを読むことなく、自分一人でチョコレート・ドリンクを飲んでしまい、強烈な回復パワーで疲れや傷が癒され、一人で村に走り去ってゆきます。
こんなストーリーの後に、このチョコレート・ドリンクの新作の効能などを伝えれば、どうでしょう? ちょっと面白いと思いませんか? これが有名な異世界転生ものであれば、人気の漫画広告になるのではないでしょうか?
広告漫画家はどのような人?(副業)
さて、このような漫画広告を作る漫画家は、どんな方達なのでしょう? 我々も十年以上漫画広告を制作していますが、最近では副業で、ランサーズなどのクラウド・ワークサービスのサイトでお仕事をされている広告漫画家の方もいらっしゃいます。
実は我々もそのような方達と一緒にお仕事をすることもあります。
漫画広告を作る方は基本的には、かつて自分が働いていた企業でマーケティングや企業広告の仕事をしている方が多いように思います。
人が見えない部分が見えるという点で、マーケティングを仕事にしている方たちには、向いている仕事かもしれませんね。
以上、企業の漫画広告を作るときの効果やメリット、デメリット、そして制作の流れについて解説いたしました。
PR効果の高い漫画広告の制作のみならず、漫画カタログや漫画マニュアル、漫画を用いた書籍の開発など、ビジネス用の漫画制作ならアイコミックスにお任せください。